新選組へ ~ 連理之枝 ~
綺麗な男と、ゴツゴツさんを交互に見る

よくわからない…

少し離れた部屋から、賑やかな声がする

誘われるように近づく

「ぎゃあ!!やめろ!!新八!!」

「うるせぇぞ!!平助!!」

「左之!!平助を押さえろ!!」

大きな男が2人して、俺くらいの男をくすぐりの刑にかけていた

なんでかわからない

別にどおでもいいことなんだけど

くすぐられている、平助と呼ばれる男を

助けたかった

他人に感情移入など、しない

でも、心の乱れを押さえきれなくて

大きな男達の着物をぎゅっと摘まんだ

「「誠!?」」

「目が覚めたんだな!!」

「チェッ!平助!!誠に助けられたな!」

「誠ーーー!!」

平助とやらに、抱きつかれている

ゴツゴツといい、こいつといい

なんなんだよ・・・

その後は、眼鏡さんがニコニコしながら
俺とお茶して

妙に幼く振る舞う綺麗な男は、明日出かけようとせがむ

無口な男は、そばでジーっと俺をみてる


どうやら、俺は誠という名で
ずいぶんとここの人達に可愛がられている

夕餉

綺麗な男が、部屋に運んでくれた

「俺が誰かわかるか?」

顔を横に振った

「やっぱりな…
ククッ…根は変わらない!…かぁ
誠、飯食え!」

食欲がなかった

「食べて、元気になれ!
明日は、外出許可する!」

俺は、俯いた

何もわからない

誰も知らない

自分が誰なのかも

「誠、俺は、土方歳三だ!
お前は、誠!
新選組 副長 土方歳三の小姓 誠!」

「ま…こと?」

「そうだ!!ははっ!!やっと喋ったな」

俺は、訳の分からない不安にかられていた

人違いだったと、捨てられるのでは

そう思った

だから怖くて、俯いたんだ

土方さんは、俺の不安に気づいて

「土方さん」

「おう!誠!!ずっとここにいろよ?」

あったかい

かけられる言葉も

今日一日、抱きしめられたり

頭を撫でられたり



あったかくて



「土方さん…ここに、いさせてください」




頭を下げ、お願いした

< 161 / 323 >

この作品をシェア

pagetop