新選組へ ~ 連理之枝 ~
紅葉狩りまで
【誠】

新選組を出る時

誰も何も言ってくれなかった


佐々木が、申し訳なさそうにしているから

平静装い、慶喜様のもとへ


慶「なぜ…戻った?」


戻るように仕向けて、それはないだろ

いらなかったみたいだ



新選組からも、慶喜からも
いらないもの

高価な卵が手に入った
新選組に卵焼きを届けさせようと焼いた
熱を冷ましている時に
近藤さんと山南さんが来て
直接渡せた

連れ戻しに来てくれたことは、嬉しかった

だけど、俺の為に新選組が振り回される

それは…避けたかった


慶喜は、体を求めてきた…毎日


前は、嬉しかったのに

慶喜が欲しいのは、体だけかと思うと

虚しかった


無理に笑うことをやめた


どうせ、愛されない



ある夜、子供の泣き声がした

そういえば、慶喜の兄から預かったとか


お芳の部屋かな?


一応、男だしまわりに誤解をされると
面倒だ…


屋根からお芳の部屋へ


「きゃっ!!」

「悪ぃ、子供の泣き声がしたから」

しまった…
挨拶しかしたことない、男が屋根からきたら、驚くわな


幸い?
お芳の世話役は、いなかった

癇癪起こし、泣きわめく輝知を見ると
お芳の胸に顔をスリスリしていた

ああ!そういうことか!

お芳の後ろに回り、着物をずらした

「ちょっと!!おやめ下さい!!ひゃあ」

輝知は、赤ちゃんがえりしたのだ

3歳なんて、赤子だ

「泣きやんだな!泣くのも疲れるだろう」

お芳の横に座り、輝知を撫でた

「よかったなぁ」


ふと、お芳を見ると真っ赤な顔で

「見ないで下さい!!」

そっぽ向く

あぁ…俺は、男装だった

「すまん…見つかると面倒だ…戻る
昼間なら、俺が面倒見てもいい
気軽に声をかけてくれ!」


屋根に上がって、自分の部屋に戻った




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