新選組へ ~ 連理之枝 ~
それから、ひとつき

俺は、部屋に閉じ込められた

正確には、出る用事がなかった

影として出番がなかった



俺の楽しみは、新選組に視察に行くことだったが…



今回は、睦仁本人が行く



俺は、ニセモノ


睦仁の影









諦めようと思うほど、苦しみが増した


気持ちを押さえようとする度


心が壊れた


心が壊れる度


俺は、感情を失った



睦仁が新選組から帰った頃


俺は、慶喜に拾われたときと同じで


すべてが、どうでもよく思え


苦しみから解放された


睦仁「影?お前、誠として可愛がられていたのだな?今回、お前が行った方が良かったのではないか?」

俺「危険でなければ、俺が表へ出る必要は
ありません」


梢「睦!!あっ!!東宮様!!」


部屋の襖が開いたままだった

お梢がすぐに頭を下げた


睦仁「マコト?」


俺「お梢につけてもらった名です
偶然です… お気になさらず…」


睦仁「其方達…どのような関係だ?」

俺「影と世話役ですよ」

睦仁「影のクセに… 俺が表へいる間
女と遊んでおったか?」

俺「そう見えますか?」

睦仁「世話役を変える」

俺「ならば、かわりはいりません」


ひとりになりたい

もう、苦しいのはいやだ


ひとりなら、誰も傷つけない

俺も傷つかない


俺は、影であればそれでいい




睦仁が部屋を出たあと



梢「申し訳ありませんでした」


俺「何を謝る?
別に、悪いことなんてしてねぇだろ…
お梢…俺は、影だ!睦ではない!
もう、マコトと呼ぶな…ここにも来るな」

お梢を立たせ、廊下に出して

襖を閉めた


すすり泣く声が聞こえたが

聞こえないふりをした


もう嫌だ

俺のせいで…誰かが傷つく





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