新選組へ ~ 連理之枝 ~
本当の力
【睦仁】

影が塞ぎ込んだのは、お梢という世話役を
引き離したからだろう


食事もせず部屋に隠る


話をしに行っても、追い出される


心配でたまらなかった


俺「父上、あのままでは、死んでしまう」


しかし、良い策がなく困った


そんなある日


俺は、風邪をひいた


その日は、慶喜と容保が来る日で大事な
話を聞くことになっていた

影に出てもらうしかない

布団で熱に魘され、朦朧としていると

影が布団の横に来ていた

引き継ぎをしにきたのか


影「すぐに楽にしてやる」


そう言って、刃物で自分の舌を切った

そして…俺の両頬を手で覆い、口づけを!



「んんんんんんっっ」



突然のことに、訳が分からず抵抗した

ん…?

血の味がしない?

甘い?

影の手が俺の着物の中へ

胸元に手が触れると、呼吸が楽になった

手が頭に触れると頭痛が消えた


しばらくの間、口づけをしていた


すっかり、楽になり口づけが心地よいと
思えた頃

チユッ


と、音を立て離れた


ん?


風邪が治った?


「ふぅん…ちゅかれぇたぁ~」


バタリと俺の横に倒れてきた


「は?はぁあああああ!?」

「んん?うるちゃい…ばかぁ」

まるで…別人

酔っぱらい?と

「おおおお男同士で…くくく口づけ!?」

「むちゅちと…うるしゃいん!!
だいりょぶ!おんらなろぉ!」

へ?呂律が回らなすぎで、聞き間違えたか

影の着物の隙間から、手を入れ胸を触る

!!!!!!!!!!!

女!?


「やらぁ!!」

バシッ

顔面を殴られた…


「いってぇ!!」


悶絶して、横を見るとスヤスヤ眠っている


自分と同じ顔の女が隣で寝ている


影をじぃーっと見ていると


父上が来た


「父上、影は一体何者です?」

「風邪は、治ったか?」

「はい…それより!!」

「睦仁、深入りするな…」

「…… はい」


何も聞けなかった



影に布団を着せ



仕事へ向かう



翌日



影は、風邪で寝込んだ

俺の世話役に看病を頼んだが

世話役を拒み追い出した



唇に残る感触…



俺は、影のことを知りたい



俺は、影に惹かれている?
お梢が親しそうに、マコトと呼んだとき
俺が感じたあの気持ち…
俺は、嫉妬したのか?


自分の気持ちに、気づいてしまった


無意識に影を女として見ていたのだ

女同士に嫉妬して、影を独りぼっちにした


俺は、なんて馬鹿なんだ!!





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