2・5次元の彼女
少しだけむすっとした私を見て、イリーナが続ける。
「よくよく聞いてみたら、単に告白を断り切れなかったってだけで、付き合ってるって言えるような関係でもなかったらしいよ」
「……そうなの?」
「うん。清らかなデートを1回しただけだって。呆れちゃうよねー、子どもじゃないんだから」
言いながらイリーナはケラケラと笑った。

なにそれ。

今さら聞かされた真相に、心底ため息をついてしまった。

景斗に彼女が出来たと聞いた私は
裏切られたような、見捨てられたような、結構なショックを受けたというのに。
まともに付き合ってなかったって?
そうならそうと早く言ってよ!

「人騒がせな話だよなぁ……まぁ景斗らしいけど」
そう言ってイリーナは5杯目の酒に口付ける。
「そんなことだろうと思ってたよ。だいたい景斗に彼女なんて、生意気だよねぇ?」
そう言って私に同意を求めてきた。

年下に生意気呼ばわりされるなんて同情するが、言いたいことはよく分かる。
景斗の紛らわしい態度に、無駄に振り回されてしまった。
文句のひとつでも言ってやらないと気が済まない。

私が悶々とした気持ちで頬を膨らませていると、イリーナが身体を傾けて私の後ろに視線を送った。
「あ! 景斗! こっち」
私を出迎えたときのように大きく手を振る。

「お疲れ様。ごめん遅くなって」

後ろから、少し懐かしくて優しい声がして、私は振り返った。
仕事帰り、スーツを着て少し大人びた景斗が、そこには立っていた。
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