2・5次元の彼女
いつの間にか私は自然に笑えるようになっていて
それは時間と共に傷が癒え始めたことを示しているのだろう。

HARUとの日々を、過去の思い出として受け入れられるようになっていた。

こうやって、私はまた仲間たちと笑い合いながら、新しい明日を迎えることができる。

HARUとの甘くて柔らかい思い出を胸の中に大切にしまって
そしてまた、新しい恋を見つけるのだろう。

やがてその恋が、あのときの淡い記憶を上書いてしまったとしても
HARUはそれを望んでいる。
私が幸せであることこそが、実ることのなかったふたりの想いへの弔い。



やっと運ばれてきたビールのグラスを、景斗は私の前に掲げた。

「ユウさん、乾杯」
私の大好きな穏やかな笑顔で、景斗が微笑む。

「……乾杯」
カツンッという音がして、私のグラスと彼のグラスが重なる。

「ちょっとぉ、俺には!?」
イリーナが慌てて飲み干し終わったグラスで私たちのグラスを叩いた。
あまりの勢いで、私たちのグラスの中身が、小さな粒になって弾け飛ぶ。

「こらぁ! イリーナ勢い強すぎ!」
「うわぁ、お通しにビールがかかっちゃったよ」
「いいじゃん! お腹に入ればみんな一緒だよ」

そしてもう一度、私たちは笑いあった。
いつまでもこの笑顔が続けばいいなと思う。
きっと大丈夫。私たちは2次元も3次元も関係ない、ずっと傍に居られるのだから。
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