2・5次元の彼女
「――と、ちょっと待って」

服選びに熱中する私を、景斗が慌てて制止した。

「今日は、いつもと違うテイストの服が欲しくて」

今までにない主張。
どうしたのだろうと私は眉をひそめて覗き込んだ。
すると彼はひとつ咳払いをして、改まった声で、でもどこか恥ずかしそうに言った。

「少し、大人っぽい服が欲しいんだ。
男らしいっていうか、頼りになりそうっていうか」

大人っぽい?
男らしい?
頼りになりそう?

景斗のイメージからは結びつかない単語ばかりが飛び出てきたので、接客中であることも忘れて吹き出してしまった。

「ははっ、景斗どうしちゃったの!? 何かあったの!?」

私がお腹を抱えて笑っていると、景斗は「そんなに笑うことないじゃないか」と少し拗ねたように口を尖らせる。

「だって、急に見栄張ろうとしてるから、どうしたのかと思って」

笑いすぎて涙で滲んだ目をこすりながら景斗を見上げると、彼は頬を赤らめて口元を隠した。

「……今のままじゃ、いけないと思ったから」
景斗が小さな声でぽつりと呟く。

「?? どうして? 可愛い服、景斗似合ってるよ」
「それは嬉しいんだけどさ……なんていうか」

景斗がばつの悪そうな顔で私を見る。

「いつまでも、ユウさんに守られてばかりの子どもじゃいられないかなと思って」
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