2・5次元の彼女
キョトンと目を見開いた私に、景斗が真面目な顔で応える。

「ちゃんと見られたくて、大人の男としてっていうか。
僕も……
いい加減、ユウさんのステージに立ちたいから」

ステージ?

その単語から、夕べのイリーナの言葉が頭の中でリプレイされた。


――言いたいことがあるなら、ステージに上がってきてから言いなよ
もちろん! ユウさんとの恋のステージ!――


あのことを言っているの?

景斗の真剣な瞳に、きゅっと胸がうずいた。

あのときの瞳と同じ色。
HARUの家まで押しかけてきて、ここを出ようと説得してくれたとき。
涙を流す私に、黙って肩を貸してくれたとき。
真剣に私のことを見守っていてくれた瞳。


ゲームの中の彼は、可愛らしい私の弟分だけど
現実の彼は、『大人』らしく私をエスコートしてくれて
時には立ち向かい戦ってくれる『男らしさ』だったり
私を守ろうとしてくれる『頼もしさ』だったり

気がつくと、もう十分に、彼の欲しがる三要素が備わっていて

急に意識してしまった私は慌てて目を伏せた。

彼の瞳が見返せない。


私が無理やり、現実の景斗をゲームの中の『景斗』に近づけようとしていただけだ。

今、目の前にいる景斗は、十分立派な『男性』で
私が守ってあげるだけじゃない
私を守ってくれている人でもあるのだ。
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