2・5次元の彼女
購入いただいたお客様は、最後までお見送りするのがこの店のマナーだ。
会計を済ませた私は、紙袋を持って、景斗を店の入り口まで送り届けた。
試着した服をそのまま着ていくことを選んだから、紙袋には景斗がここまで着てきた服が入っている。
「ユウさん、仕事のあと、時間ある? 少し話がしたいんだけど」
紙袋を受け取りながら、景斗がにっこりと微笑む。
私が頷くのを確認すると、景斗は「また後で」と軽く手を振って、店を出て行った。
話ってなんだろう。
少しどきどきする。
手早く閉めの作業を終え仕事を終わらせると、私は店を出た。
店舗が入っているデパートの裏にある通用口を出ると、通りを挟んだ正面で、景斗が待っていてくれた。
「お疲れ様」
笑顔に引き寄せられて、私は足早に彼の元へ向かう。
「来てくれてありがとう。服、結構高額になっちゃったね」
私はてへっと笑った。
別に、狙って高額商品を買わせた訳ではない。
大人っぽいとか、格好良いとか、そういうフォーマルめなテイストを選択すると、どうしても高額になってしまうのだ。
「まぁ、長く使える良いものを買ったと思えば」
景斗は特に気にする素振りもなく、私を先導して歩き出した。
いつも行く繁華街とは逆の道、ひと気のない裏通りへ向かって歩き出したので、私はあれ? と首を傾げる。
どこか行きたい場所でもあるのだろうか。