2・5次元の彼女
「どうしちゃったの、景斗、おかしいよ」

声が震えてしまった。頬が熱い。動揺が隠せない。

「嫌かな?」

なおも耳元で囁く景斗にどきりとして、首が竦まってしまう。
それを拒否と受け取ったのか、景斗の表情がまた少し暗く曇る。

嫌なんかじゃない。

私は景斗の顔を恐る恐る見上げながら、小さく首を横に振った。

彼の胸元を押し返している手の力を緩めると、私と彼との距離がゼロになった。

じんわりとした景斗の温かさに包まれながら、そっと彼の鼓動に耳を済ませる。
すごく――速い。
違う、これは私の鼓動だ。

景斗も私の身体からこの高まった鼓動を聞いているのだろうか。
だとしたらすごく恥ずかしい。

胸の中でおとなしくなった私に、景斗は安心したようにフフッと息を溢す。
また吐息が耳元にかかって、私の身体がびくりと跳ね、「んっ……」と声を漏らしてしまった。

「ごめん、くすぐったかった?」小さく謝る景斗。
少し掠れた感じの柔らかな声が直接耳に注がれて、こんなどうでもいい台詞にさえ身体が反応してしまう。

「……もう、お願いだから喋らないで」
「……ん??」
胸を埋めながら弱音を吐く私に、景斗は不思議そうに聞き返す。

「黙ってて」
「……分かった」

黙る代わりに、景斗は手に力を込めた。
ぎゅっと、だけど優しく。
私の身体が隙間なく包み込まれる。

私と彼がぴったりとひとつになって、それはすごく気持ちが良い。
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