2・5次元の彼女
バーテンダーが私の前にカクテルを滑らせる。
私はそれを口元に運びながら、他愛のない世間話を切り出した。
HARUはいつも通り、優しくて、でも少し男らしい言葉遣いで私の話を聴いてくれる。

「ねぇ、HARU」
ふとHARUに問いかけた。
「2人同時に好きになることなんて、できると思う」

HARUはぴくりと眉を上げて、少し驚いたような顔をした。
「それは、夕莉の実体験の話?」
「いや、全然そんなんじゃないけど」
私は慌てて否定する。「別に深い意味はないよ。友達の話」

少しわざとらしかっただろうか。
だがHARUはそれ以上問い詰めようとはせず、少し考えるように視線を漂わせたあと、ウイスキーに口をつけながら呟いた。
「そうだなあ、好きって言っても、いろいろあるからなぁ」

HARUがゆっくりとグラスを置く。
「甘えたい人、守ってやりたい人、居心地の良い人……友情との境目も微妙だよなあ」

「友情は全然違うんじゃない?」
「そうか?」

HARUが私に向けて首を傾げる。
「例えば、夕莉が景斗を弟のように可愛がってるのを、男女の愛と呼べる?」
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