オフィスの華には毒がある
そんなやりとりを繰り返しているうちに、そろそろ終わりそう、という雰囲気を感じとり、こうしてトイレに来たのだけど。


……うん、よかった。
こうして一人になってみて、よかった。


きっと酔っ払っているんだと思う。


……ちょっと楽しい自分がいたから。



よし、戻ろう。


今日はカタログ制作に関わった人の飲み会だから、環もいないし。


もうすぐお開きだろうけど、そのあとカラオケーなどの流れに乗る必要もないし、とっとと帰ろう。


気合いを入れて、女子トイレを出る。


わたしは別に楽しくない、楽しくない。

目の前に座っていたのは冴えないダサい主任で、そんな人とトークを重ねる32歳の誕生日、楽しいはずがない。


だってよく目を覚ましてよ、あの主任だよ?!
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