秘密の記憶は恋の契約
私が勤める「さくらシステムズ」は、社員数3千人を超すソフトウェア会社で、東京に本社、横浜に第一・第二支社、神戸に第三支社がある。

第一支社は横浜駅西口を降りたビジネス街の一角にあり、私が所属する第二支社は、横浜駅のすぐ隣、桜木町駅から徒歩5分ほど歩いた場所にある6階立ての自社ビルだ。

私は、その第二支社の5階フロアにあるシステム事業部で働いている。

システム事業部は、総勢約30人。

会社全体でも女性社員は少ないけれど、システム事業部はその中でも特に少なくて、女性は私と金田さんの二人だけ。

フロアには、向かい合わせに並んだデスクの列が3つほど連なっており、さらにそれと平行するように、パーテーションで仕切られた休憩スペースが備わっている。


(私と綾部くんは、そこにあるソファの上にいたわけだけど・・・)


5階に向かうエレベーターの中、もう一度、昨日のことを考える。


(・・・いやいや、とにかく、今は仕事だ仕事!とりあえず、一回忘れよう!!)


固く決意してエレベーターを降りた私は、「おはようございます」と挨拶をしながら、自分の席に歩いて行った。
< 10 / 324 >

この作品をシェア

pagetop