秘密の記憶は恋の契約
焦る私を、綾部くんは一蹴する。


(もう・・・!なんでそんなにムキになるの!!)


理解不能な彼の態度に、私はムッとするけれど。


(・・・もしかして・・・)


元カノに・・・佐々木さんに、いいとこ見せたいっていう思いから?

望みに応えたいって、がんばりたいって思ったから?

そう考えて、悔しいような苦い気持ちがこみ上げる。

複雑な思いでそれ以上反抗することが出来なくなった私は、綾部くんに「わかった」と言って了承の返事をした。

「では・・・一か月以内に完成させます」

宣言した私に、佐々木さんは「ありがとうございます」と言って満足そうに微笑んだ。


(売り言葉に買い言葉みたいな感じだな・・・)


言った手前、もうがんばるしかない、と自分を奮い立たせて帰り支度を整える。

佐々木さんはそんな私に、柔らかい笑みを向けてきた。

「今更だけど・・・担当、変わったんですね。あまりにも驚いちゃったから、聞くの忘れてたんだけど。

元々は、梅村さんと、岩下さんでしたよね?」


(あっ・・・!そうだ・・・!)


「申し訳ありません・・・!はい、岩下が今朝ぎっくり腰になりまして・・・。

急きょ、綾部に担当が変わったんです。何も説明せずに始めてしまって・・・」


(メインの担当は岩下さんだったのに・・・)
< 103 / 324 >

この作品をシェア

pagetop