秘密の記憶は恋の契約
金田さんは既婚者で、私より3つ年上の30歳。

ご主人は本社勤めで子供もまだいないため、残業も徹夜もバリバリ行うキャリアウーマン。

性格は、明るくて大雑把なようにみえるけれど、わりと細かいことに気が付くタイプ。

金田さんさえ気づかなければ、他の男性社員は私が昨日と同じ服だなんて気にしない人ばっかりだ。


(とりあえず、それはよかったとして・・・)


一歩一歩、ドキドキしながら自分の席に辿り着いた私は、右隣に座る岩下さんに挨拶してから、左隣の綾部くんにも、おずおずと声をかけてみる。

「お・・・おはよう・・・」

「おはよ」

綾部くんはチラリと私を見上げると、何事もなかったようにすぐに仕事を再開した。


(普通だ・・・)


私は、こんなにもめちゃくちゃ動揺してるのに。

彼の平然とした態度に、ほっとしたような悔しいような。


(・・・そうだ!綾部くんだって、昨日すごく飲んでたわけだし・・・。

二日酔いで、朝は寝ぼけてあんなことをしちゃったのかも)
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