秘密の記憶は恋の契約
佐々木さんはそんな私をチラリと見ると、資料を手にして呟いた。

「これ、読む時間もらってもいいですか?」

「はい。もちろんです」

頷くと、佐々木さんに続いて、山崎さんも資料を手にしてページをめくる。

途端に、部屋の中には無言の緊張感が漂った。


(な、なんかドキドキする・・・)


綾部くんも同じなのか、資料を読む二人を真剣な顔で見つめている。

しばらくの間、そんな静かな時間が続いたけれど、首を傾げた佐々木さんが、突然私に目を向けた。

「このページ。ずいぶん誤字が多いですね」

「え!?」

佐々木さんの指摘に、私はびくりと姿勢を正す。

「こことここ。変換ミスだろうけど、1ページで2つって、ずいぶん多い気がしますけど」

「えっ・・・あ、すみません・・・!」

慌てて、佐々木さんから差し出された資料を受け取る。

確認すると、確かに2か所の誤変換が見つかった。


(やだ・・・何度も読み返したのに・・・)


「ここで2か所もミスがあると、他のページは読む気がしないな」

そう言うと、佐々木さんは山崎さんの資料も取り上げ、私に手渡してくる。
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