秘密の記憶は恋の契約
冷たく言い放つと、佐々木さんは一人で部屋を出て行ってしまった。

バタン!と勢いよく閉まったドアの音に、部屋中の空気が凍りつく。


(なんか、ものすごく敵視されてる気がするんですけど・・・)


それは、男性に甘えて仕事してるって、そんな風に思ったから?

それとも。

あまりにも仕事のミスが多いから、ここまで怒らせてしまったの?

けれど、どこか感情的にも思えた彼女の態度は、それだけではない何かを感じる。


(綾部くんとの関係に気づいて・・・とか・・・)


今は既婚者である佐々木さん。

けれど、『結婚すればよかった』と後悔している元カレの・・・綾部くんの彼女が私だと気づいて、悪い感情が芽生えたりしたのだろうか。


(ほんとに、名ばかりの『彼女』って気がするけど・・・)


重い気持ちで考え込んでいると、山崎さんが「すみません」と言って私に声をかけてきた。

「ちょっと、きつかったですね」

「・・・いえ・・・」

気遣うようにかけられた言葉に、私はうつむいていた顔を上げた。

「あまり気にしないで下さい。佐々木さん、最近ちょっと疲れてるみたいで」

「・・・はい・・・」
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