秘密の記憶は恋の契約
(やきもち、やいてるのかな・・・)


それとも。

仕事のミスや私のことで、ただ単純に、機嫌が悪くなっただけ?

あれからずっと、不機嫌でいる綾部くん。

手をつないだままのその意味も、聞ける勇気はないけれど。


(そんなに怒った顔でいると、どうしたらいいかわからないよ・・・)


ぐるぐると回る頭の中は、不安と戸惑いでいっぱいいっぱい。

会社に入る一歩手前まで来ると、綾部くんは突然ピタリと立ち止まり、思い出したように握っていた手をぱっと離した。

「・・・月曜は、ほんとにオレも行くからな」

私に視線を投げかけて、苛立ったような声を出す。

相変わらずな彼の態度に、怯みそうになるけれど。

「・・・ううん。いいよ、大丈夫。佐々木さんには一人で来てって言われてるんだし」

「いや。行く。佐々木さん、相当機嫌悪かっただろ。なんか・・・イヤな予感しかしないから」

「でも・・・綾部くんも一緒だと、余計に反感を買う気がするんだけど・・・」


『男性に甘えている』


ただでさえそう思われているのに、月曜日、綾部くんと行ったりしたら。

私に対する感情は、ますます悪化する予感。

佐々木さんの冷えた目線を思い出し、私は不安になるけれど。

「わざわざ一人で来いって言うなんて、なんか企んでるとしか思えないだろ。

おまえ一人で行って、何かされたら耐えられない」

「えっ」
< 179 / 324 >

この作品をシェア

pagetop