秘密の記憶は恋の契約
「ははは」と笑う課長に、私はお礼を言って資料を渡す。


(心配っていう理由ももちろんあるとは思うけど・・・優しいなあ、課長)


さっきまで、忙しそうにしてたけど。

それでも手伝ってくれる課長の気持ちに、なんだか嬉しくなる私。


(よーし!その気持ちに応えるためにも、今度こそ完璧にしてやるぞ!)


気合いを入れて、私も資料とにらめっこ。

パラリと紙をめくる音だけが、時折フロアに静かに響く。

3人だけのこんな職場は、かなりめずらしい状況だけど、集中できてありがたい。

「・・・ほら」

どのくらい、時間が経過したのだろうか。

ラスト1枚のチェックをかける私の頭に、課長がポンと資料をのせた。

「誤字のところ、赤でチェック入れといたから。二人でまた確認して」

「あ・・・はい!ありがとうございます」

資料を受け取り、私は課長に頭を下げる。

「まあ・・・もう少しだしな。がんばってくれよな」

右手をあげてそう言うと、営業に用事があるという彼は、そのままフロアを出て行った。
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