秘密の記憶は恋の契約
(やっぱり忙しかったんだよね・・・課長、ありがとう!)


ココロの中で、再び課長に感謝を述べる。

一呼吸おいて、左腕にはめた時計の針を確認すると、17時をだいぶ過ぎていた。


(わ、いつの間に・・・)


気が付けば、出払っていた社員たちも、みんな席に戻って仕事をしていた。

残業でざわつく周囲。

とはいえ資料も読み終えたところだし、これはこれで、いつも通りの景色で落ち着く。

卓上で資料を整えて、「ふう」と大きく息を吐くと、左隣の綾部くんが、私の方に目を向けた。

「終わった?」

「あ・・・うん。綾部くんは?」

「オレも終わった。どうだった?」

横目の彼にドキリとしながら、ミスを見つけたページを開く。

私は付箋でチェックした場所を、彼に向かって指さした。

「やっぱりこことここだった。ほかは見つからなかったんだけど・・・」

「同じだな。オレもほかには見つからなかった。このページに集中してたんだな」

「うん・・・」

課長がチェックしてくれた資料も合わせ、二人でミスを確認し合う。

その結果、佐々木さんに指摘された箇所の他は、誤字脱字は見当たらなかった。
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