秘密の記憶は恋の契約
「3人で見て結果が同じなら、さすがに見落としはもうないだろ」

「そうだね・・・。うん、そしたら私、いまから直すね」

「ああ、悪いな」

私がパソコンに向き直ると、綾部くんはおもむろに席を立ちあがる。

すらりと伸びた高い背に、思わず彼を見上げてしまった。

「じゃあ、オレはコーヒーでも買って来るから。おまえは何がいい?」

私を見下ろしながら問いかける。

それは、自然に気遣いを向けてくれる、以前の彼と重なる姿。

何気なく、そんな仕草を見せる彼に、私はたまらず胸を鳴らした。

「あ、ありがとう・・・。そうだな、そしたら・・・『紅茶伝説』のロイヤルミルクティー」

ドキドキしながら、お気に入りの銘柄を彼に伝える。

すると、綾部くんは一瞬考えるような間を置いてから、「ああ」と頷いて口元を緩めた。

「おまえがいつも飲んでるやつか。白い缶で青い花柄のやつ」

「あ・・・う、うん・・・!そう・・・!」

「わかった」と返事をすると、綾部くんは財布を手にしてフロアを出た。

「・・・」


(やっぱり・・・私のこと、よく見てくれてるのかな)


・・・なんて。

ほんとにほんの些細な事。

なのにそれだけでとても嬉しくなって、途端にうぬぼれてしまう単純な私。
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