秘密の記憶は恋の契約
そう自分に気合いを入れて、ふうと息を吐いたとき。

「ごめん、遅くなった」

後ろから、声が聞こえた。

「自販機の前で部長に会って。いろいろ話しこんじゃってさ」

振り向くと、綾部くんがロイヤルミルクティーの缶を掲げて立っていた。


(わっ・・・!)


私はドキリと焦ってしまい、慌ててメールの画面を閉じた。

どういう目的の約束であれ、山崎さんとメールのやり取りをしていたことが、妙に気まずく感じたからだ。

「あ、ありがと・・・!」

差し出された缶を、私は視線を合わせずに受け取った。

綾部くんはそんな私を、怪訝そうにのぞき込む。

「・・・・・・どうかした?」

「え!?」

「・・・なんかやけに慌ててたけど」


(!?)


「う、ううん!なんでもないよ!!・・・あ、そうだ!これ、いくらだったっけ」

彼の指摘にドキリとしながら、私はロイヤルミルクティーを指さしながら話をそらす。

「別にいいよ。直してもらったし。おごり」

「・・・ありがとう・・・」

淡々と答える彼に、私は小さな声でお礼を言った。
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