秘密の記憶は恋の契約
私の緊張を感じ取ったのか、山崎さんは窺うような声を出す。

私は「はい」と頷いて、山崎さんを真っ直ぐ見上げた。

「あの、私・・・」

「月曜日、終わってからでもいいですよ」

私の返事を拒むように、山崎さんが言葉を挟む。

答えを予想しているのか、潤んだような彼の視線に、決意が鈍りそうになる。


(でも、土日のお誘いのこともあるし、きちんとお断りをしなくちゃ・・・)


「山崎さん、私は・・・」

ゴクリと息をのんでから、ココロに決めた言葉を口にしようとした時だった。

「美咲・・・っ!」

遠くから、怒ったような声が聞こえ、私はその方向を振り向いた。

するとそこには、怖い顔をした綾部くんが、息を切らして立っていた。


(・・・!?)


「な、なんで・・・」

「なんでじゃねーだろ・・・!」

怒鳴るように言葉を吐くと、綾部くんはドカドカと私の元へ歩み寄る。

そのまま隣で立ち止まると、彼は突然、強い力で私のことを抱きしめた。

「!?」

心臓が、ドクンと大きな音を出す。

事態が全く飲み込めない。

私は綾部くんの胸の中で、何も言えずに固まってしまった。
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