秘密の記憶は恋の契約
「・・・すいません、山崎さん。コイツがなんて言ってるのかわかりませんけど・・・オレは、美咲のことが好きなんです。

だからやっぱり・・・あなたには渡せない」


(えっ・・・)


頭上で響く、その声は。

現実ではないかのように、私の時間を止めてしまった。


(いま・・・私のこと、『好き』って言った?)


全てが静止したように、私の中の思考が止まる。

けれど彼の言葉だけ、何度も頭を駆け巡った。

「・・・・・・梅村さんは、どう思ってるんですか」

閉じこめられた腕の中、山崎さんの声が聞こえた。

いつもと変わらぬ声音だけれど、表情が見えないだけに、その感情は読み取れない。


(私は・・・)


山崎さんに伝えなくちゃと身体を少し動かすと、綾部くんは私の頭を自分の胸に押さえこむ。

「・・・うぐっ」

彼の胸元で、私は口をふさがれた。

走って来たであろう綾部くんの心音が、私の耳元で早い音を響かせている。

「そんなの・・・言わせない」

「・・・は?」

「美咲のことは、とにかく誰にも渡さない。

コイツが誰を好きだって言っても、必ずオレを好きにさせます」
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