秘密の記憶は恋の契約
「あの・・・諸事情がありまして・・・。その・・・内緒にしてほしいんです。

私と、ここで会ったこと」

一生のお願いをする勢いで、金田さんに頭を下げる。

すると彼女はキョトンとした顔をしてから、「んー?」と言って考えるように話し出した。

「それは別にいいけど・・・。

もしかしてそれって・・・綾部くんと何か関係あるの?」

「!」

ドキッと顔を上げた私に、金田さんはにやっと笑う。

「何も気づいてないと思ってた?あんな朝早く二人で会社にいたら、なんかあやしいなって思うでしょう。

美咲ちゃんは全体的に乱れてたし、綾部くんもシャツしわしわだったし。

それに・・・午前中ずーっと綾部くんのこと避けてたでしょう。もう、バレバレだよ?」

金田さんは「ウフフ」と含み笑いをした後で、「白状しなさい」と言って私に顔を近づける。


(う・・・これは・・・協力してもらうには、言わないといけない状況だよね・・・)


金田さんは明るくてノリが軽いのは確かだけれど、「秘密にしてほしいこと」を人にべらべら話すような人じゃない。

しばらく考えた私は、「実は・・・」と言って、昨晩から今朝にかけての出来事を、金田さんに話し出す。

一通りの話を聞いた金田さんは、「ほほう・・・」と言いながら、名探偵のように顎に手をかけた。
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