秘密の記憶は恋の契約
声を荒げると、彼はつかんだままの私の腕に、ぎゅっと強い力を込める。

「・・・っ!」

その力強さに痛みを感じ、私は泣きそうな気持ちになって、その場にぐっと踏みとどまった。

身体を揺らした彼が、私のことを振り返る。

すると事態に気づいたようで、つかんでいた手をぱっと離した。

「・・・!ごめんっ・・・」

はっと目を見開いて、綾部くんは私の腕に視線を向ける。

暗くてわからないけれど、半袖から伸びた腕が、赤くなっているんじゃないかと心配そうな顔をしていた。

「・・・悪い・・・。痛かっただろ」

「うん・・・少し・・・」

「・・・ごめん」

彼が、私の腕に優しく触れる。

つらそうな彼の表情に、私も胸が切なくなった。

「・・・」

「・・・」

無言が語る、静かな時間。

私は呼吸を整えて、彼の名前を口にした。

「・・・綾部くん」

「ん?」

「山崎さんに会いに行ったのは・・・山崎さんのことが好きだからじゃないよ」

私は顔を俯けて、自分の気持ちを整える。

触れられたままの肌の温度が、ぐんと上がったような気がした。
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