秘密の記憶は恋の契約
綾部くんは、バツの悪そうな顔をして、後ろ髪をかいている。

ただの同期のときは全くわからなかったけど、スマートな外見の彼の中身は、結構不器用で熱っぽい。

「ううん・・・。いいよ。山崎さんには、もう一度ちゃんと話すから」

山崎さんには、失礼なことをしてしまった。

それはとても確かなことで、綾部くんの強引さには私もかなり戸惑ったけど。

後先考えず、私を好きだと言って連れ去った彼のことを、責める気持ちにはなれなかった。

「山崎さんには・・・月曜日に会うもんな。オレがとにかく謝るから」

「うん・・・」


(反応がちょっと怖いけど・・・私も、きちんと謝ろう)


「・・・美咲」

彼が、私の名前を囁いた。

応えるように、私は、彼の顔を軽く見上げる。

「もう、まぎらわしいこととかすんなよな」

「・・・うん」

「合コンなんて、絶対に行くな」

「うん・・・」

「オレよりいい男なんて、この世の中にいないからな」

「うん・・・」

頷くと、彼はしばらく口を閉ざして、怒ったような顔をする。
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