秘密の記憶は恋の契約
「・・・やけに素直じゃねーか・・・」

「うん・・・だって、本当にそう思うから」

「・・・・・・調子狂うな・・・」

そう言うと、綾部くんはとても困ったような照れたような顔をして、抱きしめる腕を一度ほどいた。

「だって私・・・もう、嫌われたって思ってたから。

ひどいこと言ったり、合コン行ったり、絶対にもうダメだって思ってたから。

だから・・・嬉しかったの。好きだって言ってくれて」

素直な想いを伝えると、彼はもう一度、私のことをぎゅっと強く抱きしめる。

そのぬくもりは、本当にあたたかくて、幸せだなと心底思った。

「・・・ムカついたけど、だからって嫌いになったりできないし。

オレも・・・冷たく当たったりしたから、嫌われたかなって内心かなり不安だった。

山崎さんは・・・まあ・・・かっこいいし、絶対オレより優しいし」

めずらしく弱音を吐く彼のシャツの胸元を、私は触れるくらいにそっと握る。

「でも・・・綾部くんがいい」

彼が私を誰にも渡さないって、そう言ってくれたことのように。

私もやっぱり、この人じゃなきゃだめだと思った。

「綾部くんのことが私は好きなの」
< 205 / 324 >

この作品をシェア

pagetop