秘密の記憶は恋の契約
「ありがとう・・・。送ってくれて」

気が付けば、私たちは私の自宅マンションの前に辿り着いていた。

二人でいると、帰り道の時間はあっという間に過ぎてしまう。


(もう少し一緒にいたいけど・・・)


「ごめんね。お茶でも・・・とか言いたいところだけど、いま、私の家ものすごく汚くて・・・」

忙しかった毎日。

現在の我が家は、謙遜ではなく本当に人を呼べる状態ではない。

もじもじとしていると、綾部くんが笑った。

「別に。入れてくれんなら、汚かろーが構わないけど」

「いや・・・あのね、本当にすごいレベルなの。多分幻滅されちゃうよ」

「ぷっ・・・大丈夫だよ。幻滅するほど、おまえに幻想抱いてないし」


(う・・・まあ、5年の付き合いになるもんね・・・)


とはいえ。

「でも、ほんとにすごく汚いの。私がとにかく恥ずかしい」

「・・・そこまで言われると、すげえ部屋を想像するけど」

綾部くんが笑う。

「送ったからって、別に・・・そういう期待はしてねーよ。また、キレイになったら部屋呼んで」
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