秘密の記憶は恋の契約
心の声が届いたのか、黙々と仕事をしていた綾部くんが、顔を上げて私の方をチラリと振り向く。

「みんな知ってるみたいだぞ。良かったな、説明する手間省けてさ」

「え!?・・・や、でも・・・え!?なんで!?」

動揺する私を見ながら、綾部くんはケラケラ笑う。

「まあまあ。詳しいことは仕事終わってから聞くからさ。

今日はオレの復帰祝いに、みんなで飲み会やってくれるんだって。そのときゆっくり聞かせてくれよ」

「な?」と言って、岩下さんは私に満面の笑みを向けてくる。


(飲み会って・・・月曜日だよー・・・)


復帰祝いと言えど、週末に開催すればいいのにな。

そんな風に思ってしまうのは、月曜日だからだけでなく、語られる話題がだいぶ怖いのかもしれない。

「とりあえず、朝いちでアクアシュガーに行くんだろ?ほら、綾部と仕事がんばって」


(『綾部と』が妙に意味深な気がするけど・・・)


私は「はい・・・」と返事して、楽しそうに笑っている綾部くんの隣で、持っていく資料をカバンに入れた。

「じゃあ、行くか」

「う、うん・・・」

二人揃ってフロアの出口に向かって行くと、にやにやとするみんなの視線が痛いぐらいに突きささる。
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