秘密の記憶は恋の契約
「なんでみんな知ってるの!?」

「さあね。なんでだろうな」

さくらシステムズを出てすぐに、私は疑問を投げかける。

綾部くんは動揺どころか、ずっと楽しげで鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気だ。


(とはいえ・・・綾部くんが宣言したわけじゃなさそうなんだよね。

まさか金田さん?・・・じゃないよね。ちゃんと両想いになってからは話してないし、なんだかんだと、口は結構堅い人だし・・・)


うーん・・・。

恥ずかしさと疑問で悶々としながら、私は綾部くんとともに桜木町の駅前を横切っていく。

海方面へ向かうエスカレーターを昇って、目の前に続く動く歩道に乗り込むと、右側の歩行スペースを彼に続いて歩いて行った。

近づいていく目的地。

アクアシュガーの入る商業施設に辿り着くと、エレベーターに乗って23階のボタンを押した。

ここに来るのは、今日で3度目。

回数を重ねるごとに緊張感が増してしまうのは、仕事だからだけでなく、それ以外のことが絡んでいるせいだと私は思う。


(ふー・・・)


廊下を進み、アクアシュガーの扉の前で立ち止まると、私は小さく深呼吸。

さっきまでは、社内での出来事も頭の中を占めていたけど。

ここにきて、仕事の緊張感に全てを支配された私は、急激な胸のドキドキで、どんよりとした不安がよぎった。

「・・・綾部くん」

「ん?」
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