秘密の記憶は恋の契約
「・・・やっぱり、ここで待っててもらおうかな」

「は?何言ってんだ今更」

「だって・・・私一人でって言うのが佐々木さんの要望だったし・・・」

金曜日に向けられた、私に対する彼女の敵意。

あの時の恐怖を思い出した私は、ただでさえ恐ろしい状況に、相手を怒らせる要素をわざわざ盛り込んでしまうのは、いかがなものかと不安に思った。

「・・・大丈夫だよ!綾部くんにいろいろ勇気づけてもらったし。やっぱり一人で行ってくる」

「まかせて!」と私は彼に笑顔を見せるも、それは即座に「ダメだ」と却下。

「佐々木さんの出方が心配なのはわかる。でも、オレがいないのはもっと心配」

「うん・・・だけど」

「オレだって山崎さんに謝らないといけないし。

それに・・・おまえ一人で行って、また口説かれたりしたらどうすんだ」

「えっ!?」


(そこの心配!?)


「いや、それはさすがに・・・あんなことした後だし、絶対ないと思うけど・・・」

「わかんないだろ、そんなの」

「いやいや・・・佐々木さんもいるし、あり得ないと思うよ・・・」

首を振る私を、綾部くんは鼻息荒くジロリと睨む。
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