秘密の記憶は恋の契約
受付を済ませると、私と綾部くんは以前と同じ真っ白な部屋に通された。

資料をテーブルの上に準備して、ドキドキしながら佐々木さんたちの登場を待つ。

なんだかんだと綾部くんもやっぱり緊張しているようで、部屋に入ってからは、ずっと無言のままでいる。

音のない空間。

今か今かと待っていると、廊下を歩く足音が聞こえた。

近づいてくる気配。

ガチャ、と扉が開く音がして、私と綾部くんは背筋を伸ばして立ち上がった。

「お待たせしました」


(・・・あれ?)


入ってきたのは、山崎さんただ一人だけ。

そのままドアを閉めたので、佐々木さんがすぐにやって来ることはなさそうだ。

「あの・・・佐々木さんは・・・」

一番気になっていて、会うことを恐れていた相手。

その相手がいない予想外の状況に、私は挨拶よりも先にそんな疑問が口を出た。

「ああ・・・すみません。体調が悪くて、お休みをいただいてます」

「体調・・・」


(あ、そういえば・・・)


「このまえも言ってましたもんね・・・。やっぱり・・・どこか具合が悪いんですか?」

金曜日、山崎さんは、最近の佐々木さんのことを『体調が悪いようだ』と言っていた。
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