秘密の記憶は恋の契約
思っていたよりも深刻そうな感じを受けて、私はちょっと心配になる。

「実は・・・・・・オレも昨日聞いたんですけど、妊娠されているそうで」

「え!?」

私と綾部くんは、揃って驚きの声を出す。

「全然、気づかなかったです・・・」

「ええ。まだ4か月ってことですし。一緒に働いてるオレたちも、全然気付かなかったので」

「そうですか・・・」

呟くように頷く私。

綾部くんは無言のまま、山崎さんの次の言葉を待っている。

「安定期の前だからっていう理由も、もちろんあったみたいですけど。

佐々木さん、責任感が強いというか・・・本当に、仕事熱心な人なんです。

ちょうど今抱えてる仕事も多いので、妊娠してるって周りに知らせて・・・へんに気を使われたり、仕事を任されなくなるんじゃないかって、すごく不安に思ったみたいで。

ご主人以外、誰にも知らせてなかったそうです」

美しく整った、彼女の顔を思い出す。

あの表情の内側に、そんな悩みがあったんだ。

「つわりを理由に休むのも、したくないって自分を追い込んでたみたいなんですね。

でも・・・実際のところ結構ひどかったみたいで・・・。ご主人も、それでも仕事を休まない佐々木さんを、かなり心配していたそうです」

「そんなに・・・」
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