秘密の記憶は恋の契約
「今日来ることが出来たら、梅村さんに謝りたかったみたいですよ」

「え?」

顔を上げた私に、山崎さんが優しく微笑む。

「佐々木さん、梅村さんにきつくあたってたじゃないですか。

意地悪なことをしてしまったって、すごく気にしてたんですよ」

「え・・・」


(佐々木さんが・・・?)


「つわりもですけど・・・マタニティーブルーっていうのかな。とにかく、精神的にもかなり不安定だったみたいです。

そこに、ご主人が浮気してるっていう噂も偶然聞いてしまったようで・・・。完全に気持ちが落ちたんでしょうね。

内心すごく取り乱してたみたいで・・・梅村さんにも、きつくあたってしまったそうです」

「・・・そう、ですか・・・」


(佐々木さんも、いろんなことがあったんだ・・・)


ぼんやりと、でも、とても大変なことを聞いてしまったような気がして、私はそのまま口を噤んだ。

すると、そんな私を察してか、山崎さんは「ああ」と言って首を振る。

「浮気は、ただの誤解だったんです。

よく聞きますよね、奥さんが妊娠中に・・・っていうパターン。

噂を聞いた佐々木さんも、『もしかして』って・・・ご主人に確認しないまま、ずっと悩んでいたそうです」
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