秘密の記憶は恋の契約
「いや・・・すみません、余計でしたね」

山崎さんは、そんな私たちの態度に気づいているのかいないのか、こちらを見ながら、からかうようにふっと笑った。

「梅村さんがミスしたとき、綾部さん、必死にフォローしてましたよね。

佐々木さんにはその様子が、噂の相手の女の子と、ご主人の姿にかぶって見えたみたいです」


(・・・な、なるほど・・・。そうだったんだ・・・)


それで、あんな風に敵意を私に向けたのか。

とばっちり感もあるけれど、ミスしたことは事実だし、佐々木さんなりの理由には納得出来るような気がした。

「綾部さんは元カレでしょう。だから、梅村さんには余計に嫉妬心が沸いたみたいです。

二人が付き合ってるってことも、気づいてたような感じでしたし」

寂し気に言うと、山崎さんは呼吸を整えるように一度小さく息を吐く。

そしてその後、ご主人の浮気疑惑が晴れた話をしてくれた。

「出張の同行も上からの指示だし、部下のフォローも上司としては普通の行動ですからね。

相手の女の子にも婚約中の彼氏がいて・・・ご主人は、式場の相談とかも受けていたみたいですから」

同僚として、仕事の接点も多く仲がいいのは事実だけれど、浮気というのは、完全に憶測からくる誤解だった。
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