秘密の記憶は恋の契約
「先日は申し訳ありませんでした。

話もしないで、梅村を連れ去るようなことをして・・・」

綾部くんが頭を下げると、山崎さんは表情を変えずに「いや」と言って首を振る。

「綾部さんが来なくても、断られることは決まっていたと思うので。

それに・・・あんなに情熱的に連れ去られたら、諦めるしかないじゃないですか」

山崎さんが苦笑する。

綾部くんは「すみません」と言いながら、なんとも言えない表情で、気まずそうに顔を背けた。

「梅村さんははっきり言わなかったけど・・・綾部さんが彼氏だってことは、なんとなくオレもわかってましたよ。

でも、上手くいってない感じだったので、押して・・・奪い去ろうと思ったんですけどね」

山崎さんのクールな目線が、一瞬私を甘く捕らえた。

思わずドキリと胸が鳴る。

けれどそれを感じることのないように、私は慌てて視線をそらした。

「金曜日・・・ここを出て行く時、綾部さん、梅村さんの手をとったでしょう。

・・・・・・焦りましたよ。

それですぐに梅村さんをデートに誘って、押しまくろうと思ったんですけど。

・・・ダメでしたね。待ち合わせをしたときには、断ることを決めていたみたいだし」
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