秘密の記憶は恋の契約
「では、今日はどうもありがとうございました。また・・・一緒に仕事ができるといいですね」

紳士然とした態度。

それが社交辞令なのかどうなのか、私には全くわからなかった。

退出の挨拶をして、真っ白な部屋の外に出ると、私と綾部くんはくるりと身体の向きを変え、山崎さんに向き直った。

「・・・」

感謝とか、申し訳ない気持ちとか、さまざまな気持ちが入り交じる。

複雑な想いで山崎さんを見上げると、目が合った彼は憂いに満ちた顔をした。

「・・・やっぱり、お似合いですね」

「え・・・?」

「いや・・・。悔しいけど・・・梅村さんの隣には、綾部さんがいるべきだなって。

やっぱりオレは、好きな人には振り向いてもらえないみたいです」

自嘲するように、山崎さんは目を伏せる。

その切なげな表情に、私の胸がチクリと痛んだ。

「・・・では、また」

最後にもう一度会釈をしてくれた山崎さんは、私と綾部くんのことを、極上の柔らかい笑みで見送ってくれたのだった。







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