秘密の記憶は恋の契約
「人間出来すぎだろ、あの人・・・」

アクアシュガーが入っている商業施設の外に出ると、綾部くんは心底ぐったりとした表情で、山崎さんのことを口にした。

「かっこよくて性格いいとか。完璧すぎんだろ・・」

「うん・・・」

山崎さんのことだから、責めたてられることはないと思っていたけれど。

ここまで穏やかに対応してくれるとは、さすがに思っていなかった。

「なんか、負けた感が半端ない」

「・・・なにそれ」

「おまえ、『やっぱり山崎さんがいい』とか言い出したりするなよな」

「・・・言い出さないよ、そんなこと」

問いかけにムッとして、ジロリと彼をにらむけど。


(でも・・・山崎さん、やっぱりほんとにやさしいな・・・)


綾部くんへの想いが、揺らぐことなんてないけれど。

山崎さんの紳士な態度を思い出し、そんな気持ちがぼんやり浮かんだ。


(『好きな人には振り向かれない』って、山崎さんは言っていたけど・・・)


そんなことはないはずだって、彼の未来にステキな出会いを願いたい。


(・・・なんて、私が言うのもなんだけど・・・)
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