秘密の記憶は恋の契約
山崎さんに、好きになってもらえて嬉しかった。

『私にはもったいない』なんて言葉は、口にしたらば残酷だけど。

それでも、そう思わずにはいられなくなるような、彼はそんな人だった。

「・・・言ってるそばから。おまえ今、山崎さんのこと考えてただろ・・・」

「え!?」


(す、するどい・・・!)


「いや・・・そんなことないよ!!」

「・・・おまえはわかりやすいんだよ。何度も言ってるだろ・・・」

じろりと彼に睨まれて、私は慌てて話題を変える。

「あ!そ、そういえば・・・!佐々木さん、赤ちゃんがいたんだね!」

心身ともに、不安を抱えていた彼女。

それでも必死に、仕事に取り組んでいた。

いろんな意味合いがあると思うけど、今日来れなかったことは、彼女にとって本当に心残りだったに違いない。

「・・・ああ。まあ・・・よかったな。旦那とも仲直りしたって言うし」

「うん・・・」

「でも、ちょっと腑に落ちた。おまえに対する態度は、いくらなんでも、涼・・・佐々木さんらしくないなって思ってたから」
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