秘密の記憶は恋の契約
どうやらマイクに見立てたらしい。

そこまでの年じゃないはずなのに、彼の行動はまさしくオジサン代表だ。

「まずはそうだなー、きっかけからいくか」

「いや・・・ていうか、なんでみんな知ってるか、私はそっちが気になるんですけど・・・」

岩下さんの問いかけに、私は答えず疑問を返す。

すると、金田さんがもぐもぐしていたからあげを飲みこんで、呼吸を整え口を開いた。

「なんでって・・・目撃情報すごいからだよ」

金田さんがウフフと笑う。

「手えつないでたとか、キスしてたとか。

桜木町の駅周辺でそんなことしてたら、絶対誰か見てるって」

金田さんが「ねえ」と田口くんに同意を求めると、彼は「はい」と頷いて気まずそうに下を向く。

明らかに、目撃したと思わざるを得ない反応。


(ああ・・・でも、確かにそういうことした記憶があるかも・・・)


身に覚えのある行為。まさか見られていたなんて・・・と、私は顔が熱くなる。

「金曜日もなあ、『梅村はどこ行ったんですか!』とかって、綾部が会社飛び出してったりしたしなあ。

一緒にいた石山も言ってたけど、さすがに俺も気づいたよ」

課長が笑う。
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