秘密の記憶は恋の契約
「全く・・・そうならそうと言ってくれよな。おまえらがケンカしてると思って、俺はかなり心配してたんだぞ。

あの時だってな・・・」

「まあまあ。よかったじゃないですか。逆にこうして仲良しで」

ブツブツと文句がでそうな課長の話を、金田さんが笑顔でぴしゃりとシャットアウト。

その間も、綾部くんは常に余裕の表情で、ビールをごくごく飲んでいる。

「ところでいつからなんだ?梅村も水くさいよなあ。前に言ってた『気になる彼』って、綾部のことだったんだろ?」

「!?い、いや、あれは・・・」

そうだ。いつかのランチ時、岩下さんと金田さんに『気になる彼をデートに誘え』と提案されたような気がする。

「そもそも、綾部は梅村のことが好きっぽかったって、結構みんな言ってたぞ。

あそこで梅村が『綾部くんが好き!』って言えば、あの場で上手くいっただろうに」

「い、言えないですよ!そんなの・・・。

それに、あの時はまだなんていうか・・・別に好きじゃなかったし・・・」

もごもごと口ごもると、綾部くんはビールを置いて私のことを横目で見つめる。

アルコールが回って来たのか、潤んだ瞳に思わずドキリとしてしまう。

「うそつくなよ。あの時から好きだっただろ、オレのこと」

「は!?な、なに言ってるの・・・!」
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