秘密の記憶は恋の契約
「・・・だってさ。よかったな、これで思う存分こうして平気だ」

そう言って、綾部くんはまたもや私の肩を抱く。

「ちょっ・・・もう!ほんとにやめて!私が恥ずかしいんだってば!!」

私は再び、彼をどーんと大きく突き飛ばす。

課長の方によろけた彼は、「いてえ」と言って腕をさするも、なぜだかとても楽し気だ。

「酔ってるでしょ!」

「こんぐらいで酔うか、バカ」

そんな私たちを見ながら、他の4人はやれやれと言った顔をする。

相変わらず、満足そうに笑う彼。

そんな彼を、私は横目で「もう!」と鋭く睨み続ける。


(でも・・・こんなこと、先週までの私には想像もつかなかったことだよね)


ヤキモチをやいたり、ケンカをしたり。いろいろなことを乗り越えて、私たちはいま、こうして二人で一緒にいられる。


(これはやっぱり、幸せ・・・かな?)


彼のすべての行動を、受け入れることなんてできないけれど。

社内恋愛特有の、恥ずかしさから得られる感情。

これはこれで大切にするべきかもと、複雑な気持ちで考えた。

その後、他のメンバーも入り乱れながら、岩下さん復帰祝いと名の付いた宴会は、約二時間で幕を下ろした。








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