秘密の記憶は恋の契約
「当然。言ってただろ」

「うん・・・。でも、あの時は綾部くん担当じゃなかったし・・・いろいろ迷惑かけちゃったから」

あの時はまだ、私と岩下さんで仕事をすることになっていた。

仕事は確かに終わったけれど、反省することも多くある。

『上手くいった』とも自分を評価できなくて、約束に甘えていいものかと私はうーんと悩んでしまった。

「そんなの・・・別に迷惑だとかも思ってねえし。美咲も相当がんばってただろ。

結果無事に終わったんだ。打ち上げってことでもいいし」

「な?」と言って、綾部くんは私の頭をくしゃりと撫でる。

その感触にドキリとして、ココロは不思議と素直に解けた。

「うん・・・。そっか、そうだね!よし、じゃあすっごいステキなとこでおごってもらおうかな」

私が元気に返事をすると、「まかせろ」と言って嬉しそうに彼が笑った。

「どっか行きたいとこがあったら言えよ。オレも調べとくけど」

「うん!ありがとう」

友達から恋人へ。

私たちはこうやって、お互い見栄を張ったりせずに、距離を縮めていけたらいい。

「今週末にでも・・・って言いたいところだけど、他に誘いたいとこがある」

「どこ?」

「海の方で花火があるだろ。一緒に行こう」

「・・・うんっ!」

横浜市内でも、私たちの住むエリアからは一番近い花火大会。

そういえば今週の土曜日だったっけと、私は胸を躍らせた。
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