秘密の記憶は恋の契約
「ちゃんと浴衣着て来いよ」

「え!?浴衣!?」


(ど、どこにしまったっけ・・・)


「花火っていったら浴衣だろ」

「うん・・・まあ・・・そうかもしれないけど」

「絶対着て来い」


(む・・・命令・・・)


「・・・そんなのわからないよ」

「着て来いよ。美咲の浴衣姿が見たいから」

「・・・・・・・・・じゃあ・・・・・・考えとく・・・」

私は視線をふいっとそらし、ぶっきらぼうに返事をするけど。

心の内を読まれているのか、綾部くんはフフンと笑った。


(くそーう・・・。結局言いなりになる予感)


なんかだかとっても悔しいけれど。

『見たい』なんて言われたら、期待に添いたいと考えてしまうのが乙女心だと思う。


(確か・・・実家においたままだっけ)


私は浴衣の記憶を辿る。


(・・・そうだ!そしたら土曜は、朝から実家に行って、そのままそこで着つけてもらって・・・)


考えとくなんて言いながら、すでに私は着る気満々。 

私はむすっと顔を貫きながら、髪型はどうしようかな、和風のカバンあったっけ、と、頭の中でデートの妄想をひとりワクワク繰り広げていた。









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