秘密の記憶は恋の契約
詩織が、特大のクラブハウスサンドをモグモグかぶりつきながら、諭すように真依に言う。

同じ妊婦さんでも、佐々木さんと違って詩織につわりはないらしい。

「だってー!すごくかっこよかったんだもん」

「うん。そうみたいだけど」

「詩織は既婚者だから余裕なんだよ!美咲だって、山崎さんをフッちゃうくらい、綾部くんとラブラブなんでしょう?

私だけだもん、寂しくフリーなの」

ブツブツと呟く真依に、詩織はさらに言葉をつなぐ。

「真依もねえ、黙ってれば小さくってかわいいんだから、モテると思うんだけどねー。

しゃべると印象違うから」

「何それ!しゃべったら台無しみたいじゃん!!」

「台無しとは言わないけど。パッと見おとなしそうでお嬢様っぽいでしょ。

合コンだと、第一印象でそういう子かなって期待しちゃうと思うんだよね」

「えーっ」

詩織の理論に、真依は思いっきり不服そうな顔をする。

「もうね、ネコ被るとかめんどくさいの。被ったところですぐにバレるし。

かっこよくて気い使わない人、どっかにいないかなー」

「はあ」と真依がため息をつく。

「んー・・・まあ、合コンも行きまくってたら、そういう人にもいつか出会うかもしれないけどね」

「うーん・・・そうだね。でも、山崎さんレベルの人は、確かになかなかいないかも」
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