秘密の記憶は恋の契約
約束の時間ほぼジャスト。

待ち合わせの駅に降り立つと、綾部くんから『電車が遅れてる』というメールをちょうど受信した。


(しばらく待ちそうだよね。そしたら・・・)


きょろきょろと辺りを見回すと、改札を出たすぐ左側に、本屋さんが建っていた。


(ここで待ってればいいかな)


本屋のある場所を記して、綾部くんにメールを送信。

とりあえず雑誌でも見ていようかな、と、目についたファッション誌をパラパラと流し読みをする。

続いて手に取った地元情報誌を眺めていると、後ろから「美咲」と私を呼ぶ声がした。

「ごめん、遅れて」

私の好きな、彼の声に振り返る。

するとそこには、黒地の浴衣を着た綾部くんが、乱れた息で立っていた。


(・・・わ!)


初めて見る浴衣姿。

背も高いし、何を着たってもちろんかっこいいけれど、やっぱりここは日本男児、和装のはまり具合は半端ない。


(ど、どうしよう・・・!!めちゃくちゃかっこいいんですけど・・・!!)


挨拶すらも忘れてしまい、ぽーっと彼に見惚れてしまう。
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