秘密の記憶は恋の契約
心の中を読まれた気がして、私は素早くうつむいた。


(・・・いけないいいけない・・・。一人で妄想が加速してしまった・・・)


恋人としては、まだ、始まったばかりの私たち。

それなのにこんな想像をしてしまうのは、やっぱり今が幸せで、私がとても浮かれているから。


(でも・・・そんな未来が、いつか本当にくるといいな)


願うように見上げた空に、ひゅるるるるという音を出しながら、大きな光が昇っていった。

ドーンと大きな花火が上がり、子どものはしゃぐ声がした。

「すごーい!」

「見て見てー、おっきい!」

頭上に開いた光の華。

つられて「わー」と声を上げると、彼が私を見下ろした。

優しい瞳。

目が合った彼の頬を、花火の光が明るく照らした。

胸が、何度も高鳴り続ける。

キレイな彼の横顔と、夜空を彩る花火の色。

この景色を、私は、これからも絶対に忘れない。

繋いだ手を一度ほどいて、私は、彼の腕にぎゅっと両手を絡ませた。

黒い彼の浴衣の袖が、さらりと私の頬をかすめる。

そのまま彼に身を寄せて、目に映るこの景色と、感じる今のこの想いを、私は胸に刻み込んだ。







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