秘密の記憶は恋の契約
そう言って、彼はまた、最後の焼き鳥の串を私に「ほら」と差し出した。

タレのかかったねぎまの串が、私の五感を刺激する。


(・・・ゴクリ・・・)


これはきっと、甘やかしに似た挑発行為だと思うけど。

ねぎまの誘惑に負けた私は、結局それを受け取った。


(・・・おいしい・・・)


モグモグと、ねぎまのお肉を噛みしめる。

そんな私を見た彼は、「やっぱ食った」とケラケラ笑って、楽しそうな顔をした。


(くそう・・・絶対に遊ばれてる・・・)


たこ焼きの時の気持ちは訂正。

彼の思惑にはまるのは、やっぱり、ごくごくたまにでいいかもしれない。

そんなことを考えながら、私は串に残ったネギとお肉を、そのままぺろりと食べてしまった。









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