秘密の記憶は恋の契約
(どうしよう・・・。もう少し一緒にいたいって、思わず誘っちゃったけど・・・)


結構大胆なことをしてしまったと、これからの展開にドキドキと胸を騒がせる。


(もうこんな時間だし、普通に考えたら・・・このまま泊まって・・・そういうことになるわけだよね)


私は多分、ただ一緒にいるだけじゃなくて、彼と関係が深まることを願って誘ったと思う。


(来てくれたってことは・・・綾部くんだってきっと・・・そう、だよね?)


先ほどの、彼の視線は甘かった。

私はドキドキとする気持ちを抑え、紅茶をいれる準備をすすめる。

ポットにやかんのお湯を注ぐと、アールグレイの芳醇な香りがふわりと周囲に漂った。


(・・・うん。いいにおい)


白いレリーフのティーカップ。

紅茶を注ぎ、ソーサーの上にセットをすると、こぼさないようにゆっくりゆっくり運んで行った。

「はい。おまちどおさま」

「ああ。ありがと」

綾部くんはそう言って、早速カップに手をかける。

息を吹きかけてゴクンと飲むと、「美味い」と私に微笑んだ。
< 275 / 324 >

この作品をシェア

pagetop